「新しいメガネを買われるよりも、修理扱いでカスタマイズされた方が、お安くできますよ。」
先日、メガネを新しくしようと、吉祥寺の「メガネのミキ」に行った時の店長の言葉です。
私は、黒いメタルフレームのメガネを愛用していました。
しかし、今回は、マットシルバーの金属フレームを探していたのです。
ところが、シルバーフレームはあるにはありますが、
なんだかスポーティな雰囲気の物ばかりでだし、マットも無い・・・
昔ながらのオーソドックスなフレームが好きな、私が気に入るデザインが、見つからなかったのです。
私は、もう30年以上、メガネのミキでメガネを作っています。
マクドナルドで全国を転勤して廻った時も、その土地その土地のメガネのミキで作っていました。
なので、吉祥寺に引っ越しても、やはりメガネのミキだったのです。
何が気に入っていたという理由は特にありません。
長年お付き合いしているので、他店に浮気する理由も別段無かったからです。
しかし、今回、探していたデザインがなかった為、さすがに他の店を見てみようかなと、フト思ったのです。
そんな時の店長の言葉が、
「新しいメガネを買われるよりも、お気に入りの今のメガネを、修理扱いでカスタマイズされた方が、お安くできますよ。」
だったのです。
つまり、メガネのフレームの黒い塗装を剥がして、新しくマットシルバーの塗装をすればいい、とのことです。
しかも、修理扱いなので、たった3000円。
フレームもレンズも新しくしようかな、と思っていただけに「なあるほど、そう言う手があったか！」
と、私はこの提案にかなり嬉しい気持ちになりました。
しかし、お店にとっては、せっかくの売上チャンスを、3000円の修理費用だけで、終わらせてしまうのです。
私が、手にとって「う～ん」と悩んでいたギリギリの好みのメガネを「お似合いですよ～」と言って、
お薦め販売することも出来たはずです。
しかし、店長は、私に「修理」という裏技を提案してくれたのです。
この「メガネのミキ吉祥寺店」は、昔オープンした時に、記録的な売上を上げた伝説の店です。
しかし、時は流れ、マーケットは変化し、今となっては、商店街の外れ、人通りも少ない不利な立地。
それにもまして、吉祥寺の熾烈なメガネ戦争は、全国トップクラスの激戦状態。
現在の売上は、オープン当初よりも相当厳しい状況であることは、容易に想像出来ます。
なので、そこを任されている店長の売上プレッシャーは、かなり強い物があると思います。
にもかかわらず、この提案。
本当にお客様が求めている物を、お客様の立場で考え、お客様が一番嬉しい方法で提供する。
とても素敵で、勇気のある提案だと感じました。
吉祥寺には、チェーン店、個人店合わせると約30件の眼鏡店があります。
最近流行のデザインを扱っている、新興ブランド店もあります。
しかし、そんな環境の中にあって、最も不利な場所にあるはずの、
メガネのミキが、長年営業を継続している理由は、
こう言う「お客様の立場」「相手軸に立つ」姿勢が徹底されているからのように思いました。
と言うわけで、私は次回も、この店で買いたいなあ～と、思ったのでありました。
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