店長のための「言える化」推進計画(その34)
「あの~。商品チェックをしていただいているCさんの負担を減らすことが出来れば、もっと上手く行くと思うんだけど・・・」
ある日のスタッフミーティングで、お客様からのクレームについて、どの様にすれば改善が出来るのかについて話し合われていました。議事進行は、スタッフリーダーのAさん。お客様からのクレームで一番多かったのは、注文したメニューが席に届くのが遅い、商品が冷めている時がある・・・と言う内容でした。その問題に対して、キッチンとホールを調整するデシャップを任されているCさんは、「自分のチェック作業が遅いのが原因」とみんなに謝ったのですが、スタッフリーダーのAさんは、「そうさせてしまっている原因を解決しましょう」とミーティングに参加している他のスタッフの意見を求めたのでした。
そこで手を挙げて発言したのが、冒頭のキッチンスタッフのDさんでした。
しかし、すぐさまその意見に他のスタッフから突っ込みが入りました。
「Dさん、そんなことはわかってるんだよ。だからどうしたら良いのかって言ってるんだよ。」
言われたDさんは、思わず下を向いてしまいました。
ミーティングで意見が活発に飛び交わないのが、この店の店長の悩みでした。店長やスタッフリーダーが発言すると、スタッフは、黙ってしまい、結局は、スタッフリーダーが「では、これで宜しくお願い致します。」とまとめてしまうのです。その為、改善策や促進策にスタッフの意見はほとんど反映されていませんでした。その原因は、スタッフリーダーによる、「聴く姿勢不足による『言っても仕方が無い症候群』」だと考えた店長は、Aさんが「スタッフの発言を聴きたくなるように、スタッフの強みを見つけてスタッフ一目置く」ように指導したのです。
その結果、Cさんに対する態度が変わったAさんは、Cさんの「原因は自分」という発言に対して、そうなっている原因まで深掘りしようと言ったのです。このように店長の狙い通りにAさんは大きく成長したのですが、会議が消極的になってしまう原因はもう一つあったのです。それは、珍しく発言したのがキッチンのDさんに対して、その発言が「当たり前のことだ」と、他のスタッフによる軽い突っ込みが入ったことです。実は、このような軽い突っ込みが原因で、積極的な発言が抑制されてしまうことも、「言える会議」実現の障害となっているのです。
「あたりまえだろ」
「だからどうなんだよ」
「何言ってるかわからないよ」
「話が長いよ」
「それで?」
このような突っ込みを入れられると、勇気を持って発言した人は、気持ちが萎縮してしまうのです。突っ込みを入れる方は、何気なく軽い気持ちで言ってしまうのですが、言われた方のダメージは非常に大きいのです。突っ込みを入れられても平気な人は、良いのですが、今まであまり発言が出来なかった人にとっては、こう言う突っ込みは、「黙っておこう・・・」と言う気持ちを増幅させてしまうのです。
ミーティングでつまらない発言をすると、いつもAさんが目をつり上げて先ほどのような突っ込みを入れていたのを、スタッフ達は覚えています。なので、それを真似して突っ込みを入れてしまったのです。ところが、成長したAさんは、この突っ込みに対して、以前とはまったく違う反応をしたのです。
「Dさん、ありがとう。正にそう言うことなんだよね。Dさんのそう言う気持ちが、解決策を見つけるきっかけになるわ。ありがとうね。」
ファシリテーターとしてもリーダーとしても一段成長したAさんは、突っ込みを入れたスタッフの意見にかぶせながら、久々に発言したDさんに、まずは発言に対する感謝を伝え、他のスタッフによる突っ込みのダメージを消し去ったのです。
Aさんは、自分がダメなスタッフと評価していたCさんが、実は自分よりも高い能力を持っていることを認めたことで、他のスタッフに対する態度も大きく変化したのでした。そのことが、ミーティングでの進行に大きく影響を与えていたのです。
さあ、ミーティングの雰囲気は大きく変わりましたね。
では、続きはまた明日。
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- author: PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)
- 2014年05月22日
- 09:45
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