「相手軸な叱り方」㉞叱ることが優しさとは限らない

PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)

2013年01月31日 06:22




「言わないでおく、叱らないでおくことはかえって優しくない」

かつての私の上司が口癖のように言われていた言葉です。
確かにそう思います。

ここで、言っておかないと、相手が気がつかない。
そのままにしておくことで、もっと大きな問題になってしまうことさえある。
だから、気がついたらすぐに注意する、叱る、それが相手に対する優しさだ。

と言うことだと思います。
確かにそうだと思います。しかし、実はそうでもないこともあるのです。

「部長が言われることは分かっているんです。でも、納得出来ないんです。何故なのかは上手く説明出来ませんが、スッキリと納得出来ないので、、、、動けません。」

以前部下だったマネジャーが、新しい上司に、判断ミスを叱られた後に、ボソッと私に言ってくれた言葉です。

このマネジャーが、解決したかったのは、指摘された、叱られたこと以上に、そう判断した自分も判断が何故間違っていたのかがわからない、間違いだと言われることに納得が出来ない、それを解決したかったのです。

けれど、上司から言われるのは、
「何故、そう言う判断をしたんだ?」
と言われるばかり・・・

悩みが深い場合は、表面的な問いかけでは、答えに到達出来ずに余計苦しませてしまいます。
叱り手が、自分の答えと同じ答えを持ってもらおうと思うと、期待通りの答えを出すまで、聴き続けます。
上司の求める答えが何なのかはわかっている。
しかし、それがどうしても納得出来ない。
そう言うこともあるのです。

一般的に見ても、上司の求める答えの方が正しいと思えるときでも、彼にとってはそれは答えではない。
そんな時に、叱ることを続けても、相手は、叱られる事への苦痛に対応するところに気持ちが集まってしまいます。そして、本質からずれてしまうのです。

叱り手は、相手が同じミスを繰り返すことが無いように、愛情を持って叱ります。
けれども、それが苦痛になるのならば、叱らずにおくと言う事も選択肢なのです。

「叱る」シーンではありませんが、あるコーチが、同じような状況の時に採った方法は、、、、
「少し時間をおく」という方法でした。

クライアントが、ある方との人間関係に悩んでいるものの、自分は悪くない。だから自分から謝るようなことはしたくない。そう言う状況で、相手の話を聴くだけ聴いた後で、
「ゆっくり考えましょう」
と言ったのです。

同席していた私はビックリしました。
私のコーチングの常識では、「その場で解決する」「先延ばししてはいけない」と考えていたからです。

「叱る」のは、そこで解決したいから、です。
でも、相手がそう言う状況に無い、答えが引き出せない、そう言うときは、少し柔らかくなるまで時間をおく、と言う方法もあるんだな、と思いました。

何でもかんでも棚上げしてはいけませんが、焦らず、時間をおいて、相手にゆっくりと考えてもらうことも、必要なんですね。

ちなみに、先ほどの「ゆっくり考える」コーチングは、1ヶ月後に再開され、クライアントが「自分が求めること」と「自分が出来る事」の中から整理が始まったようです。
さすがですね。

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