新人店長は「仕事の不満」の基本を理解しよう①

PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)

2013年12月21日 10:46




「まったく・・・売上やら、利益やら、接客やら、お客様満足を言うのなら、この店の機械の修理を先にやって欲しいよね~」

一般的にチェーン店において、経営者と現場のアルバイトや店長との間にあ
る距離感、ギャップは、経営者の想像を遙かに超えているものです。先日、あるチェーン店の店長からお話しを伺う機会がありました。彼の会社は、お客様の満足度を向上させるために、接客や商品品質、そして店舗の衛生状態について厳しく指導し、高いレベルを維持することを店長に要求しています。しかし、現場を預かる店長は、「それはわかるし大切だとは思うけれど、この厨房の床、ダクトの排気が悪いせいかつるつるとすべるんです。それに、排水を何度清掃してもすぐあふれてくるんです。業者に聞くと、逆勾配だからあふれるのは仕方が無いと言うんです。私たちではどうしようもないんです。社長も私たちに色々要求するならば、こう言うことを先に改善して欲しいですよね。」とぼやいていました。

その場には、店長の上司であるスーパーバイザーもいたのですが、予算がなくてなかなか稟議が通らないと言う言い訳をされていました。まあ、このスーパーバイザーの問題も大きいのですが、彼らの提案がすんなり通らない社内の体制にも問題があるようです。高額の提案に対して何らかの抵抗感があるのでしょうね。

チェーン店に限りませんが、最前線の現場で働いている店長やスタッフが、どの様な環境で働き、それが快適か否かを正確に把握していない経営者が非常に多いのです。空調しかり、ユニフォームしかり、休憩室の環境など、知ってか知らずか?見て見ぬふりか?はそれぞれ違うでしょうけれど、放置されていることが多いのです。

店長は業を煮やして、社長に店舗の環境改善を直訴したのですが、「そんなお金はない」というひと言で一刀両断。でも、この会社は利益を上げている会社なのです。現場の環境を犠牲にして利益を上げてそれで良いのでしょうか?

景気が回復していき、働く場所が増えてくると、最初に見捨てられるのは、このように現場の働く環境を大切にしない、真剣に考えない企業です。しかし一方で、スタッフの「仕事に対する満足度」に高い関心のある会社は、以前からこう言う課題に真剣に取り組んでいます。社長以下、全社を挙げて、スタッフの満足度を高めていこうと努力しています。

でも、先ほどのような「そんなお金はない。」という経営者は、「満足度を上げていこうとすると、人件費がどんどん高騰してしまうだけだ。」とも言うのです。

こう言う経営者は、大きな勘違いをしています。仕事に対する満足を得るには、時給の前に、「設備的に快適な環境」と「基本的な人間関係の安心感」があるのです。満足して働き続けるには、時給も大切ですが、その前に基本となる環境整備をしておかねばならないのです。それをしないから、時給を上げていくしか、スタッフを維持する方法が無くなってしまうのです。しかし、いくら時給を上げても環境整備が出来ていなかったら、基本的な不満が消えることはありません。単に「しかたがないから」で我慢するだけです。

このような状態は、長く続けることは出来ません。しばらくすると、徐々にスタッフが去って行き、サービスが低下し、お客様が来なくなり、そして・・・・その街からこの店は消えていくのです。

スタッフの仕事の満足度向上を一生懸命考えている会社の中には、年に一度、本社スタッフや経営幹部が店舗で働き、現場を体感するイベントをしている会社もあります。こう言う仕組みは非常に大切です。まあ、でも、そんな素晴らしい仕組みでも中には、「いやあ~本社の人が来るんだから、出来るだけ環境が整ったキチンとした店で現場体験をしてもらわないとね」と、本来の目的を思いっきり勘違いしているマネジャーもたくさんいるようです。それじゃあ意味ないんですけどね。

さて、あなたの店は、スタッフが、楽しく明るく働けるような満足度の高い環境を提供できていますか?店長であるあなたが、問題点を見て見ぬふりをし、スタッフに我慢を強いていると、徐々に彼らはあなたの元を去って行きますよ。もう一度よ~く見てみましょうね!


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