店長のための観る聴く問う講座:9つのスキル「誉める・・・称賛する」その18

PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)

2015年08月15日 06:42



「スタッフにもっと良くなってもらいたいと思って、ちょっと違う誉め方をしたんです。すると、なぜかパワーダウンしたように見えたんです。その後も、あまり意欲的に取り組んでいない様子なのです。誉め方が悪かったんでしょうか?」

若き店長は、先輩であり師匠でもある出来る店長にこのような相談をしました。

「ほお~どんな誉め方をしたのですか?」
「実は・・・誉め方と言うよりは、誉める基準を少し高めようと思って、条件を付けたんです」
「どんな風に?」
「はい、『ここが出来たらもっと良いのになあ~』という言い方です。彼女のレベルは、イイところまであと少しなんです。でも、もうちょっとだけ足りないんです。そこを伸ばして欲しいんです。だから、そう言ったんですが・・・」
「プロセスや努力は認めたのですか?」
「はい、もちろんです。よくがんばっていますので、そこは認めています。言葉でも言っています。でも、結果や成長部分は、まだ今のレベルでは誉められないのです。僕は、そこをどのようにして誉めて伸ばせば良いのかが分からなくなりました・・・」

「なるほどね。君は、自分の誉め方に後何があったら良いなと感じていますか?」
「スタッフ自身が、自分であと少しどこが足りないかを自分で気づかせるようになりたいですね。そこを気づかせるために、努力やチャレンジを誉めて気持ちを良くはさせているとは思うんですが、スタッフは、そのあと少しの所に気がつてくれないんです」
「スタッフは、現在地とゴールを認識していますか?」
「ゴールはわかっていると思います。基準を明確にしてそれに合意していますからね。まだそのレベルでは無いこともわかっていると思うんです」

若き店長は、スタッフに対して「条件付け」をしていたのでした。
上司からの「条件付け」は、部下にとっては「ダメ出し」と同じことです。
「ダメ出し」をうれしく感じるのは、自分の成長を日々感じていて、もっともっとと欲があるときです。
しかし、その意識まで到達していない、まだフラットな状態のスタッフへの「ダメ出し」は、気分がマイナスに移動します。


上司からの「ここが出来たら・・・」と言う言葉は、認められているようで認められてはいません。
「条件付け」は否定と同じなのです。
まだ出来ていないところについては、「自分で気がつく」ことが大切です。
結果として、若き店長は、「自分で気がつく」質問をせずに、ダメ出しをして上司が指摘するという方法をとっていたのでした。


「ポイントは、『現在地』だね。前回の場所とゴールと現在の場所を自分で言葉にさせてごらん。すると、前回からの成長部分とゴールまでの不足部分が見えてくる様になるよ」
「現在地の認識が僕と差があるときはどうすれば良いのでしょう?」
「それは、基準の合意がきちんとなされていないと言う事だね。もう一度そこに戻ることだね」

お店にしろ、ひとにしろ、成長にはプロセスがあります。
必ず、スタート地点と現在地とゴールがあるのです。
多くの上司は、このゴールに到達していないことだけで部下を評価します。

上司の仕事は、ダメ出しではありません。
上司の仕事は、部下をゴールに導くことです。

導くとは、ゴールまでの道筋と、そこまでどのように行けば良いかを認識させることなのです。


「そうか・・・僕はちょっと焦っていましたね。スタッフがなかなか気づいてくれないので、僕の方から答えを言ってしまっていたんですね。結局それがダメ出しと同じことになって、それで気持ちが萎えてしまったんですね」
「そうかもしれないね。では、どうリカバリーする?」
「まずは、もう一度、彼女の『現在地』について一緒に基準合わせをします。そこからですね」
「いいね!よし、やってみよう!」

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