「相手軸思考発見」⑨クビにしなくてよかった
「本当は、この春頃、あの子にはバイトを辞めてもらおうと思ってたんですよ」
店長は、ボソッと話し始めました。
“あの子”とは、18歳の女子高生。
笑顔もなく、接客をしていても素っ気ない態度で、お客様からの苦情にも火に油を注いでしまう様な態度を取っていました。
いくら注意しても反省している様子が見えない。
きつめに叱ると、泣く、すねる、、、、、子供です。おこちゃまなのです。
けれど、遅刻もせず、無欠もせず、3年間黙々とバイトに来てくれています。
決して根は悪い子じゃあない。
来春は、卒業して社会人。このままじゃあ、ダメだよね。少しでも大人になってもらわなくては・・・
店長はそう思って、来春の高校卒業まで、根気よく指導を続けようと思いました。
そんなある日、隣駅のグループ店でシフト不足の為、急遽彼女がヘルプに行くことになりました。
店長は、彼女にひと言声を掛けて送り出しました。
「ちゃんと、お店の役に立ってくるのよ。」
ヘルプの時のモチベーションは、人により様々です。
自店舗ではないので、そう一生懸命はしない人。
他店舗なので、自店舗のプライド掛けてより一層張り切る人。
せっかくのヘルプなので、その店の良い所を学ぼうとする人。
いろいろです。
自店舗で、仕事が上手くいかない「おこちゃまの18歳女子高生」
実は、彼女も、ひとつの大きな決心を持って、ヘルプに行ったのでした。
自店舗では、言われても、叱られても全然出来なかった、
店頭での呼び込み
お客様へのお声がけ
笑顔で元気な挨拶などなど
彼女は、4時間、自店舗で働いている時とは別人のように顔晴りました。
結果、売上は前年比20%増!
ヘルプ店の店長から、御礼と賞賛の電話がすぐに、自店舗の店長にかかってきました。
「何あの子?凄いじゃあない!ありがとう!ありがとう!」
実は、彼女は、ずっと「変わりたかった」のです。
でも、心の中では、変わりたい、変わりたい、と思っていても、
自店舗で「この子はダメな子」というイメージが付いているのを、自分の恥ずかしさが邪魔して払拭出来なかったのです。
一歩が踏み出せなかったのです。
でも、誰も見ていない、、、他店舗のヘルプでならば、やれるかも知れない!
これで出来ないのならば、もうバイトは辞めよう。
そう強く決心して、ヘルプに臨んだのです。
彼女は、自店舗でやるにやれなかったこと全てにチャレンジしました。
結果、彼女の元気な笑顔と呼び込みは、店頭を歩くお客様にも届き、売上20%アップ!
もうこの子は、以前のダメなおこちゃまではありません。
自店舗に戻ってからも、自信たっぷりで今まで出来なかったことにチャレンジし続けています。
彼女がずっと心の中で思っていた、
「本当は、自分はちゃんと顔晴りたい」
「お店の役に立ちたい」
という気持ちは、ようやく表に出る事が出来たのです。
店長は、反省しました。
「私が彼女の『本当の気持ち』を引き出せていなかった。叱ってばかりで、チャレンジする機会や環境を与えていなかったんだ。今回のヘルプで、やってみようと思ってくれて本当に嬉しい。今度は、私がそう言う気持ちを引き出して上げられるようになりたい。」
18歳おこちゃま女子高生のおかげで、店長もまた一歩成長したのでした。
相手を信じ、相手の中にある「本当の気持ち」を引き出すお手伝いをすること、
これも立派な「相手軸思考」ですね。
店長は眼には光る物を浮かべながら言いました。
「彼女を信じてよかった。クビにしなくてよかった。」
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- author: PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)
- 2012年12月07日
- 06:15
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