「相手軸な話」㉙世界的ベッドメーカーの素敵な対応・後編
「あのショールームで感じた、あの感触が一番良かったのよ!」
彼女の名前はAさん。
とても気に入って購入したベッドの寝心地が、ショールームで感じたあの感じと全然違う!と苦情を入れました。
彼女が住んでいるのは和歌山。そこに大阪からベッドメーカーの担当者がやってきました。
Aさんは、あくまで「あの展示品の感触」が良かった。だから、あの展示品でもいいので交換して欲しい、と要望していました。
担当者「この度は大変ご迷惑をかけしました。」
Aさん「いいえ、それはいいのよ。だから、あの展示品のベッドで良いので、あれと交換して欲しいの」
担当者「いえ・・・あの展示品は、かなりお客様が試用されていますから、汚れが目立ちます。それをお売りすることは出来ません。」
Aさん「何とかならないものなの?お金を返してとかではないの。お宅のベッドが気に入ったのよ。」
担当者「ありがとうございます。そこまで言って頂きながら、何も出来なかったら恥ずかしいです!必ず何とかします!」
と言って、大阪に帰っていきました。
会社に戻った担当者は、早速、全国のショールームと連絡を取り始めました。
そして、大阪のショールームの展示品と同じくらいの柔らかさになっているベッドで、汚れが出来るだけ少ないものを探しはじめたのです。
(スプリングコイルの柔らかさをどうやって測定するのかはわかりませんが・・・)
一般的なマットレスは硬さ調整のために「詰め物」の量で調整されますが、この詰め物が多いと使っている内に詰め物に負担が掛かり、すぐに劣化してしまうそうです。しかし、このメーカーのマットレスは、独自のポケットコイルを使用しています。また詰め物に頼らず、バネの弾性を活かして最高の寝心地を実現しているそうです。
さて、数日後、彼はようやく、全国のショールームで展示中のベッドの中から大阪の展示品と同じくらいに柔らかくなった、しかも汚れの少ないものを探し出しました。そして、Aさんのご自宅の新品と交換したのです。
Aさんは、感激していました。
一度納品したものを、再度別のものと入れ替える。それも、遠くからわざわざ運んで来る。
メーカーとしての効率の悪さ、手間は非常に大きい物があったことでしょう。
展示品を売るというメーカーとしての会社イメージの意見調整にも骨を折ったことでしょう。
そして、どうやって調べたのは定かではありませんが、Aさんが一番気に入ったというベッドの柔らかさと同じ物を探し出すのは、相当苦労されたのだと思います。
しかし、彼のお客様を思う気持ちと行動は、ひとりの熱心なファンを獲得し、そして新たなお客様を失うことを防ぐことが出来ました。
彼が、会社の立場に立って、前例や配送コストを考えて「それは出来ません」とマニュアル通りの杓子定規な対応をしていたら、そして、全国のショールームの人達に説明して協力してもらう行動力が無かったら・・・
きっと、彼女はこのベッドを返品し、他社のベッドを買ったことでしょう。
実際、展示品は徐々にバネがゆるくなるとは言っても、よほど感性の鋭い人では無い限り、それを判別することは難しいのです。
一流のベッドメーカーですから、くたびれたものを展示しているわけではありません。
しかし、お客様の感性は、プロのそれを上回っていました。
このベッドメーカーは、世界の一流メーカーだと言われています。
なので、もちろん営業マンも優秀なのです。
「優秀」とは、「相手軸に立ってお客様が満足いくまで応対をする」ことです。
この営業マンは、そう言う点でお客様の希望を実現させました。
コイルが柔らかくなるまで我慢しろと言い続けなかった営業担当者に、いつも自分自身の中にある「自分勝手な自分軸」を見直す良いキッカケを頂きました。ありがとうございました。
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- author: PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)
- 2013年02月22日
- 07:49
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