「上司が、部下とのゴールの合意不足とフォロー不足を反省して、それを補うためにゴール直前でダメ出ししたり、アドバイスしたり・・・そんな反省って、ムチャクチャ迷惑なんですけど・・・」
そんな上司に対する対策として、若き店長は、「部下が上司に相談するのが嫌になる理由をクリアーするために、スタート時のゴールの確認や、スタート直後の確認で解決できる」と出来る店長からレクチャーを受けました。
しかし、今ひとつ腑に落ちないようです。
「でも、それって本当にスタート前やスタート直後の確認で解決するんでしょうか？なんだかにわかには信じがたいです・・・」
「どうしてそう思うんだい？」
「だって、僕も上司に対してそれはやっていたんです。けれど、結局は、ゴール間際でひっくり返されるんですよ。根本的に僕が出来ていないならともかく、結果が出始めているにもかかわらず、です・・・」
「ひっくり返されたの？」
「と言うか、次々と追加の指示がくるんです。そんな時間も予算も無いにも関わらず・・・で、どうすればいかを尋ねたら・・・」
「自分で考えろ！・・・だね？」
「そうなんです。訳がわかりません」
若き店長が、完全にぼやきモードに入ってしまったため出来る店長は、少しトーンを下げて話し始めました。
「困った上司だと思っているんだね」
「はい」
「まあ、それも結局は、『上司の不安』が原因なんだ。それを払拭するには、『ゴールの明確化と合意』しかないのさ。さっき言ってくれたような『理不尽に感じるようなアドバイスをする上司』は、不安でいっぱいか、もしくは部下を崖っぷちに追い込んで成長させようと目論んでいるんだ。結局は、君がそれを拒絶するか、それに乗っかるかのどちらかを選ばないといけないね」
「成長を望んでくださるのはうれしいですが、最初に合意したゴールをさらに上乗せさせられるのはかないません」
「そうだね。だからこそ『ゴールの明確化と合意』なんだよ。その時点で、ゴール設定を変えるのかどうかについて上司に確認しなくてはならないんだ」
「部下の立場からすると、そんなに冷静に話せませんよ・・・」
「そうだね。話しにくいけれど、そこは『承認のテクニック』を使うのさ」
「上司に対して『承認』ですか？」
「そう。たとえば『部長は、この方法を使うとより完成度が高くなると言う事をおっしゃっているんですね』とか『今の状況に対して、今いただいたアドバイスを追加すると言う事ですね』と言うような言い方だな」
「『繰り返したり言い換えたりして確認する』んですね。これも『承認』なんですか？」
「そう、これも『承認』です。すると、相手は自分の言ったことを再確認することになる。再確認すると、今部下が行っている方法や目標について冷静に見直すことになる。『承認』の効果は、そう言うところにも出てくるのさ」
「そうか・・・上司から一方的に言われることが多いので、そのまま『はい』って言っちゃってます」
「部下が、意見を言わないと上司は安心してしまうんだ。矛盾するんだけどね(笑)ゴール直前のアドバイスや追加の指示に対しては、最初に行った方法や目標についての『合意』を再確認することがポイントなのさ。そうすると、上司は、部下が目標を達成することに安心するので、もうよけいなことは言わなくなることが多いんだ」
「そうか・・・部下の立場でも『承認』は行うんだ・・・」
「そう言うこと。そして、その気持ちを今度は君自身が上司の立場で部下に対して対応するようにすれば・・・」
「尊敬され、信頼される！と、思います」
「いいね！さすが、わかってるね！上司の振り見て我が振り直せ！だよ(笑)」
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