そうだ「お店の健康診断」をしよう:その43価格を原価から逆算設定してはいけない
第5章:プライスの健康状態を調べよう
①価格を原価から逆算設定してはいけない・・・・価格や原価は戦略的に考えよう
「飲食業の食品原価の基準は3割です。4割や5割の商品なんてあり得ない!」
あるチェーン店の社長がこう言って商品開発担当者を叱ったそうです。
さて、本当にそれで良いのでしょうか?
確かに、飲食業においては、食品原価は30%、人件費が30%、家賃と販促などのその他経費が30%で、その結果、残り10%が営業利益になると言うのが基本と言うか今までの定石です。しかし、ただバランスよくこの割合を守ったからと言って、事業がうまく行くという保証は何もありません。
近年、お客様から注目され評価されている飲食店の中には、このバランスを完全に壊してしまっている企業がたくさんあります。一等地を避け、家賃を下げる代わりに、その分を食材原価に投資して、お客様に還元することにより、目的来店を大きく伸ばして繁盛している店もあります。三等立地で繁盛している店は多くがその考え方ですね。魅力度を半端なく高めて目的来店率を高めれば、立地が全てというわけでもないのです。
また、一等立地で有りながら、更に食材原価比率を高くしてかなりのお得感を演出している店もあります。最近話題の「俺の・・・」シリーズの店がそうですね。その代わりに、このグループの店では、立ち席をメインにし、お客様の滞在時間を短くして、多くのお客様で回転させることにより、薄利多売で利益を生みだしているのです。
損益計算書3割、3割、3割のバランスでは、食材や内装や人件費にかける予算が限られてきます。もちろん、限られた予算の中で創意工夫するのが商売ですから、それもとても大切です。しかし、その予算がもっとあったら、もっと面白いものが出来る可能性が高くなります。
その予算投資の結果を敏感に感じるのが「お客様」です。
お客様の頭の中にも、飲食店の基本的なPL構造(損益計算書の構成)は、詳しい知識が無くても無意識に常識的に先入観として存在するのです。だから、前出のようなバランスを崩した店に遭遇すると
「え?何これ?」
「うわ~これはあり得ない!」
と、驚愕、感激、感動を覚えるのです。
しかし、それを実現させようとすると、まずは、基本的なPL構造から崩さねばならないのです。
ところが、多くの企業がこれを行う事が出来ません。
では、どういうふうにすれば、このアンバランスな業態にチャレンジすることが出来るのでしょうか?
それは、戦略を持つことです。
戦略とは、「商品」「価格」「サービス」「場所」「内外装デザイン」です。
そして、その店を利用する「お客様」です。
この6つを明確にすれば、実現は可能です。
誰に何を買っていただきどう思って頂くのがあなたのビシネスの目的なのか?
それを積み重ねていけば「俺の・・・」のような店は実現可能です。
逆に、食材原価は3割だ、人件費は3割だ、家賃は・・・と言う過去の常識や管理的な発想からスタートしたら、絶対に「俺の・・・」は実現出来ないのです。
「お店の健康診断」では、「価格戦略を持っているかどうか?」と言う視点で、このPL構造のバランスを確認しています。
さて、あなたはどちらの発想でビジネスを前進させますか?
※写真は「俺のイタリアン GINZA」です。本文とは無関係です。
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- author: PEOPLE&PLACE(ピープル&プレイス)
- 2014年09月30日
- 09:33
- コメント(1)
この記事へのコメント
「たまりば」運営事務局でインターンシップをしている学生スタッフです。
定石を守ることだけが必ずしも成功に繋がるわけでないのは、どの世界でも同じですね。
多種多様なお店が存在している現代では、むしろ多少型破りなお店の方がインパクトがある分、
お客様の印象に残って成功しやすいのかもしれませんね。
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