「まずは、話をしている相手にとって、話を聴いている側がどんな態度だったら話しやすいかを考えてみよう。それが、この１から４なんだ」
出来る店長は、ホワイトボードに書き出した『聴く』についての６つの禁止事項を指さしながら話し始めました。
１）相手に正対し眼を観て聴く・・・斜め向き禁止
２）相手の言葉にシンクロさせながらうなずく・・・適当うなずき禁止
３）自分の「聴く表情」に気をつける・・・眉間のしわ禁止
４）他のことはせずに集中して聴く・・・片手間禁止
５）相手が求めてくるまではアドバイスをしない・・・おせっかい禁止
６）言いたいことや教えたいことや注意したいことが頭に浮かんでも言わない・・・おせっかい禁止２
「これは、僕自身が、相手はこういう態度の人には気持ち良く話せそうだな、と考えてそれを実行し、うちの店のスタッフ達に感想を聴きながら修行しているから、君が使ってもたぶん効果がある方法だと思うよ」
出来る店長は、自分の「聴くための姿勢」を常にレベルアップするために、自分の店のスタッフ達にいつも改善点について意見を求めています。
店長のそういう真摯な姿勢は、スタッフ達を次第に「自然と前向きに話す」ように成長させてもいるのです。
スタッフ達は、こういう風に言います。
「店長は、僕の話を何でも真剣に聴いてくれます。ガミガミお説教もしません。だから、思い切って何でも言えるんです。たまにバカなこと言っている時もあるんですが、自分でも分かっているんです。でも、店長はそれをも真剣な表情で聴いてくださるんで、そのバカなこともまじめに考えて話しようにしているんです」
出来る店長は、なぜここまでスタッフ達の話を聴き続けることが出来るのでしょうか？
そこまでの境地になかなか到達出来ない若き店長は、出来る店長に尋ねました。
「最後まで聴き続けることが出来るのは・・・やはり、信じているからですか？」
「もちろんそうだよ。それが基本。彼らが何を言っても、最後はまじめに仕事のことを考えてくれていると信じているからね」
「ふう～そうですよね。でも、僕はなかなかそこまでは信じ切れないし、いくら信じられる要素を探すために観察をしても、確信を持って『これが信じられる根拠だ！』というポイントがつかめないんです。やはり、信じることが中途半端だと最後まで聴き続けることは出来ないんでしょうか？なんだか、信じるのが先か、聴き続けるのが先か・・・みたいな鶏と卵のような葛藤が頭をぐるぐる回っているんです・・・」
「実はね、僕も最初から信じ切っていた訳じゃあないんだよ。確信を持てるようになったのは、ずいぶんと時間がたってからだったな～」
「え？そうなんですか？それまではどういうふうにされていたんですか？」
「それはね・・・実は３つの謙虚な心を自分に課すことにしたんだ」
出来る店長は、そう言いながら、ホワイトボードにその「3つの謙虚な心」を書き始めました。
１つめの謙虚心・・・相手に関心を持つ
２つめの謙虚心・・・相手の言葉を否定しない
３つめの謙虚心・・・相手から学ぼうと思う
「この３つの謙虚な心は、まだ『スタッフの中にやる気があるかどうか確信が持てない状態』でも持つことが出来る事です。この3つを心がければ、さっき書いた『最後まで聴くための6つの禁止事項』は守れるよ」
明日は、この3つの謙虚な心について、少し詳しくお話ししましょう。
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